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コメント&レビュー

コメント 著名人の方をはじめ、様々な方々から感想を頂きました

「全身全霊を込めて躰と対話をする 。
この世に誰一人として同じ躰には生まれてこない。
その体を慈しみ表現する、このことこそが生きていることの賛美である
とこの映画を見て認識する。裸は最大の衣装である。」
                              寺島しのぶ(女優)

 

「麿さんは魂の人だから。
 舞踏って魂のモノだからさ。」
                              荒木経惟(写真家)

 

「山崎さんのカメラは対象の肉体からほとばしる感情をみつめ、感応して動く。
カメラのこちら側で対象とは別のもうひとつの肉体が息づいているのだということを
観る者は感じるはずだ。 麿赤兒の肉体と山崎裕の肉感的なカメラとの衝突・・・
すぐに考えてしまおうとする僕のような人間にはこれは、かなり事件である。」
                              是枝裕和(映画監督)

 

「裸ん坊の集まる夏には、みんなおのずと「体が踊る」。 
それは「涙が出る」みたいに、どこかでなぜか必ず覚えている生理現象のようで 
体、踊り、をもう一度懐かしく抱きしめたくなりました。」
                              黒田育世(ダンサー・振付家)

 

「踊りつづけてください。」
                               大森南朋(俳優)

 

「合宿参加者の、わずか一週間の間に変化していく表情。
語りではなく、映像だけがそれを見せる。
観光・白馬とは違う「生」の白馬の素晴らしさが映っていた。」
                         扇田孝之(長野県在住・地域社会研究家)



麿さんの「間」という話などで舞踏の動きも納得できるし、見ながら自分でも
体を動かしてしまいました。人類でも日本人でもいいですが、踊りの原初的な発生の
現場に立ち会ったような気がします。
それと同時に舞踏も40年以上たって、様式化されつつあるところもわかって面白かった。
                              男性

 

映画の本筋は合宿だけど、間に映し出される舞台のシーンがすごくかっこよくて、 夢中で見る。
上手く言えないけど、その、研澄まされた真っ白さ(見た目のことではない…)に、
頭が醒めるような感覚。
「海印の馬」という舞台は実際に劇場で観たんだけど、頭に赤いリボンをしてピンクの
シフォンのワンピースを着た麿さんがふわふわ踊るシーンが気に入っていたので、
その場面がまた見られたのも嬉しかった。(そのシーンは予告編でもちらっと見られる)
体を限界まで動かすのって、すごく苦しそうだけどすごく楽しそう。
                               女性

レビュー 各紙より頂いたレビューを掲載します

「SWITCH」より

旗揚げから35周年を迎えた舞踏集団・大駱駝艦。この映画は、大駱駝艦が毎年夏に開催している合宿を3年間に渡り取材し、市主催の麿赤兒の思想と共に収めたドキュメンタリー作品。学生やサラリーマンなど合宿に参加した人々は、肉体と向き合い、自身の存在そのものに意義と希望を見出そうとする。映画が多くを語ろうとしない。しかし、それを観ている者一人一人が、語り手となることを切に訴えかける。

 

「いってきま試写」より

大駱駝艦の基本思想である天賦典式「この世に生まれ入ったことこそ大いなる才能とする」から出発した舞踏手法と思想が、合宿を通して若者たちの肉体と精神に刻みつけられていく。そして迎える最終日。裸体に金粉をまとった合宿生たちが、夜の舞台の上で、己の肉体を開放させる……。

そんな合宿の様子を映し出すのは、長寿番組「世界の車窓から」や「FISHING With JOHN」のプロデューサーとしても名高い岡部憲治。白馬村の大自然と、貴重な大駱駝艦の過去の舞台映像を交え、合宿生が成長していく様を丁寧に撮影している。

最終日の舞台を観た時、初日とは明らかに違う合宿生たちの肉体と精神の在りように、思わず心の底から震えるほどの感動を覚えた。大自然の下、人間が裸で舞う。そこに、言いようのない確かな繋がりが感じられたのだ。舞踏や麿赤兒の深淵に迫るというよりは、舞踏の世界への入門的内容になっているので、舞踏にまったく触れたことがない人でも楽しめる作品である。

 

「CUT」より

映画『裸の夏』は、舞踏集団・大駱駝艦と、その魅力に惹かれて集まる若者たちに光を当てたドキュメンタリーである。男女を問わず、ほぼ全裸に近い身体に白粉や金粉を塗り、怪奇なパフォーマンスを繰り広げる彼らは、いったいどんな人間たちなのか。しかし、合宿所で「はじめての暗黒舞踏」に挑戦する若者たちと、指導に当たるベテランの踊り手たちの素顔は拍子抜けするほど素直で優しい。そして、自分の身体に向き合うことで成長する若者たちの姿は、実にキラキラと力強い。

 

「シアターガイド」より

裸に最も近い衣装、白塗り、けいれんのような動き…。一見、ハードコアな世界にも思える舞踏の世界の入口に何があるのか。本作はそこに着目したドキュメンタリーだ。

真面目だが、特別厳しくはない稽古。朝のランニングと、和気あいあいとした食事風景… その淡白な映像に、最初は拍子抜けする人もいるかもしれない。だが食事当番や掃除に勤しみ、休憩時間に川遊びする彼らの顔のクローズアップに接するうち、その意図が見えてくる。現代の都会では見ることのできない、まるで古い映画から抜け出たような田舎っぽい笑顔の数々。普段の生活で背負ったさまざまな決めごとや肥大した自意識が、この数日間だけ、彼らの身体から消えていく―。

代表作『海印の馬』を始め、舞台映像もふんだんに挟まる本作。舞踏ファンや表現者を目指す人にはもちろんだが、何より“今の自分”について考えこみがちな多くの若者に、ちょっと知ってほしい一作だ。

 

「聖教新聞」より

『裸の夏』は、合宿最終日に行われる夜の野外公演を目指し、何かをつかみ取ろうと苛酷な練習に明け暮れる合宿生たちを追ったドキュメンタリー映画。肉体も精神も日々、変化していく様が、緻密なカメラワークで映し出されていく。

映画では、大駱駝艦の舞台映像や、奈良で撮影された麿の舞踏もおさめられている、それらを目にして、どうしようもなく襲ってくるのは、“死”の実感だ。動きのひとつひとつが美しく、それ故なのか、いつか肉体は土にかえることを思い知らされる。生と死は一体であり、どこかで宇宙とつながっている。そんな不思議な感覚に襲われる。…やはり、得体が知れない。だから、また見たくなる。